AGAの治療薬「ザガーロ」

 

こんにちは。高橋栄里です。

 

今回はAGA治療の新しいお薬についてのお話です。

 

 

2016年6月、薄毛治療の新薬「ザガーロ」(主要有効成分デュタステリド)が発売となりました。

 

国内でAGA治療薬として承認されたのが2015年9月のことなので、薄毛治療への関心が高い方ならすでに耳にしたことがあるかもしれませんね。

 

 

日々診療に取り組む医師としては、医学の進歩とともにより効果の高いお薬や治療法を患者様に提案できるようになるのは医師として喜ばしい限りです。

 

 

しかし、単に「新しい」という理由だけでお薬や治療法を直ちに切り替えるようなことはできません。

 

 

なぜなら、新しいものだからといって必ずしもその効果や安全性が従来のものよりも高いとは限らないからなんですね。

 

当たり前の話ですが、重要なのは新しいかどうかではなく「効果」と「安全性」です。

また、それがその方にとって第一に選択するべき薬剤なのかどうかも大切になります。

 

臨床試験で良好とされる統計が出た薬や治療法だとしても、実際の医療の現場で新たに使用する場合は、その効果や安全性などについて専門の医師が副作用など万が一の可能性も含めて慎重に見極めていかなくてはなりません。

 

 

以前の記事でもお伝えした通り、男性の薄毛の代表的な症状の一つであるAGA(男性型脱毛症)は、主にホルモンと体質が関係して起きる脱毛症です。

 

男性は、たくましい骨格や筋肉といった男らしい体をつくるのに、テストステロンという男性ホルモンが体内で大量に分泌されています。

 

このテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT。時に悪玉男性ホルモンなどと呼ばれるもの)に変化し、このDHTが毛乳頭の男性ホルモン受容体に結合します。

 

DHTには結合しやすいレセプターとそうではないレセプターがあり、結合しやすい体質の人の場合(これは遺伝的な要因が強いと考えられています)結合すると毛の元となる毛母細胞に作用して増殖が抑えられ、髪が成長する期間が短くなります。

 

髪の毛が太く長く成長しきる前に抜け落ちては生え変わってしまうため、短くて細い毛が目立つようになり、薄毛になってしまうというわけです。

 

 

そしてこの5αリダクターゼには「Ⅰ型」と「Ⅱ型」が存在します。

 

 

これまでの研究では、AGAにはⅡ型5αリダクターゼが主に影響している考えられており、そのため治療にはこのⅡ型5αリダクターゼの働きを阻害する薬が治療薬として用いられてきました。

 

そのお薬がプロペシア(主要有効成分フィナステリド)です。

 

 

これに対し、Ⅱ型5αリダクターゼだけでなくⅠ型5αリダクターゼの働きをも阻害する作用があるのが今回の新薬「ザガーロ」(主要有効成分デュタステリド)になります。

 

 

Ⅱ型5αリダクターゼほど強い影響はないと考えられているものの、全く無関係とは言えないⅠ型の5αリダクターゼにも作用することにより、より高い薄毛治療効果があるのではないかと期待されています。

 

 

 

さてそんななか先日、薄毛治療に携わるドクターが集結する薄毛カンファランスが行われ、私も出席をしてきました。

 

薄毛治療新薬ザガーロ①女医高橋栄里ブログ

 

会場では様ざまな発表や意見交換が行われましたが、中でもやはりザガーロの注目度は高かったように思います。

 

 

ザガーロの薄毛改善の効果については、発売元であるGSK社発表の臨床データによりますと、プロペシアと比較して1.6倍の結果が出ているとの事。

 

 

一方で、カンファランスに参加した医師からはプロペシアを服用した場合と比較して薄毛に進行が見られたというケースの報告もありました。

 

これについてはどんな薬にも患者様の体質との相性が考えられ、特に薄毛治療については私が長年治療にあたってきた経験上、薬や治療法が合う、合わないの個人差が比較的大きいため、当然想定されるケースかと思われます。

 

 

また、副作用については文献においては重篤な副作用はないものの、フィナステリドのものに類似する副作用があること(実際にはデュタステリドの方が副作用がやや強い印象があるという話も出ましたが)、AGAの治療薬として考えた場合、大きな影響はないとされるⅠ型5αリダクターゼまでブロックすることにより別の弊害がでる可能性についてなどなど、ドクターのディスカッションでは様々な意見が飛び交いました。

 

 

その他、作用機序の違うミノキシジルとの併用を行うことにより、より治療の効果が高まることなどなど、治療法についてのディスカッションではすでに私は試したことがあるものが主でしたが、全体として大変有意義な時間になりました。

 

 

ご参加の先生方、関係者の皆様、ありがとうございました。

 

今後も患者様のお悩みの改善のために、研究を重ねていきたいと思います。

 

 

近年ではインターネットでの個人輸入や輸入代行業者などで比較的簡単に医療用医薬品もが手に入るようになりました。

デュタステリドやフィナステリドを主成分とした薬も例外ではないようです。

 

 

しかし本来、こうしたお薬は患者様それぞれの体質や生活習慣、服用後の体調の変化などについて、主治医が細心の注意を払いつつ処方し、使用していただくものになります。

 

 

特にAGA治療については6ヵ月前後~と比較的長い治療期間が必要になる場合が多いため、使用する薬や治療の方針などを、経過の観察も含めて信頼できる主治医とともに取り組んでいくことが大切であると私は考えます。

 

 

ご自身の症状や体質、より自分に合った薬や治療方法を知るためにも、薄毛が気になりだしたら専門の医療機関で専門医へご相談なさることをお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーカイブ

仕事依頼 インスタグラム ツイッター skincare citrus