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【AGAのお話】人はなぜハゲるのか?~抜け毛・薄毛の原因から治療法まで~
AGAとはなにか?
AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。成人男性によくみられる薄毛の症状のことをいい、日本全国で約1,260万人がAGAといわれております。AGAは進行性なので、何もせず放置してしまうと髪の毛の数は減り続け、徐々に薄毛になっていきます。そのためAGAは早めのケア、治療が大切だとされています。
AGAの症状とは
額の生え際、頭頂部のどちらか一方から、もしくはその両方から髪がだんだんと薄くなるのが特徴です。AGAが進行すると、抜け毛が増え→短く細い毛が目立ち始め→地肌が目立つようになっていきます。
なぜ抜けるのか
抜け毛の原因に大きくかかわってくるのはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの1種です。テストステロンは筋肉や骨格形成などの肉体面や、行動力や積極性などの精神面にまで大きく影響を与えるホルモンです。男らしく体格もがっしりとしていて積極的である男性はテストステロン値が高いため、最近ではモテホルモンなどとも呼ばれています。ここで注意していただきたいのは、
「テストステロンが多い=AGA」 ではありません。
男らしい体つきで積極的な男性がみなさん禿げているわけではありませんよね。ではなぜ、同じ男性でも禿げる人と禿げない人がいるのでしょうか。髪が抜けるのは「DHT(ジヒドロテストステロン)」という物質が原因です。DHTは、テストステロンに「5αリダクターゼ」という還元酵素が結びついてしまうことで生じます。「5αリダクターゼ」により代謝されたDHT、は毛乳頭に存在している男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)に作用し、ヘアサイクルの乱れを生じさせ、髪が抜けてしまうのです。これがAGAのメカニズムなのです。
AGAは遺伝?
では、メカニズムが分かったところで、AGAの症状が出るひと出ない人の違いについてです。AGAの原因について、様々言われていますが、ずばり「遺伝と体質」が原因です。
- 5αリダクターゼが生成されやすい
- 生成された5αリダクターゼがテストステロンに作用し、DHTが代謝されやすい
- DHTがレセプターに作用しやすい
以上の3つが遺伝・体質により異なるため、AGAの症状が出やすい人と、そうでない人がいるのです。もちろん、完全に遺伝・体質で100%決まるわけではありません。生まれ持った体質だけでなく、その後の生活習慣でAGAの進行に影響を与える原因は考えられます。
例えば、極度のヘビースモーカーの場合、血流が悪くなり薄毛を進行させやすくするということは考えられます。しかし、そういった要因というのは、あくまで遺伝・体質的なAGAの要因に多少なりとも影響しているというものであり、直接的な原因ではないということを忘れないでください。その点を誤解してしまうことで、AGA・薄毛に関する都市伝説が生まれているのではないでしょうか。
AGAセルフチェック
それでは、現在薄毛、抜け毛でお悩みの方、その症状はAGAなのかどうか気になりますよね。簡単にできるセルフチェックの項目を以下に示します。
①親族に薄毛の人がいる
②以前に比べ抜け毛が増えた
③産毛のような短く細い毛が増えた
④髪にコシがなくなった
⑤思春期以降に薄くなり始めた
⑥薄毛は徐々に進行している
⑦額の生え際が後退している
⑧頭頂部が薄くなっている
半数の4つ以上あてはまる場合、AGAである可能性が考えられます。こちらはあくまでセルフチェックですので、正しい診断は医療機関で専門の医師にご相談ください。
AGAは進行性
今現在、薄毛が気になっているという方は、できるだけ早い段階での治療開始をお勧め致します。それはなぜなら、AGAは進行性であるからです。一度進行が始まると、治療しない限り進行し続けるのAGAの大きな特徴です。
数ある薄毛対策似効果はあるのか
シャンプーでAGAは治せるか?
薬用シャンプーや育毛シャンプーなど、世の中には髪の毛にいいとされるシャンプーはごまんとあります。しかし、髪に良い成分が入っていたり、育毛効果のあるシャンプーはあっても、シャンプーだけで髪がフサフサに生えてきた事例は聞いたことがありません。あくまで、シャンプーは補助的な役割として髪を健やかに保つものとして使用することが良いのではないでしょうか。
育毛剤で髪は生えるのか
育毛剤といえども内容成分は様々です。育毛剤の中で唯一発毛の効果が認められている成分が「ミノキシジル」です。ミノキシジルは毛細血管を拡張させ、毛乳頭に作用し毛を成長させる因子を放出させます。よって、ミノキシジルが入っている育毛剤に関しては、発毛が期待できると言えます。しかし、それだけでは十分な発毛の効果が期待できない場合もあります。それについては後ほど述べる
※治療法についての項目で詳しくご説明いたしましょう。
マッサージに発毛効果は効果ある?
頭皮のマッサージが髪にいいというのはよく言われています。シャンプーの際に、指の腹で優しくマッサージするように洗うことは、毛穴に詰まった汚れや皮脂などを落とし、頭皮を清潔な環境にします。また、美容室などで行われているヘッドスパなどで頭をマッサージしてもらうことはリラクゼーション効果も高いと言えるでしょうしかし、”マッサージ=髪が生える”というわけではありません。
間違った頭皮マッサージはかえって頭皮に悪い影響を与える可能性もあります。生え際や頭頂部に細くて短い毛が目立つようになってきたというような方は、注意が必要です。過度なマッサージや摩擦による刺激によりそれらの産毛が抜けてしまう可能性があるからです。あくまでマッサージは適度に行い、シャンプーの際の洗浄か、リラックス効果を目的としたものにとどめておいた方が良いのではないでしょうか。
サプリメントは上に聞くのか?
AGA治療専門医療機関の中には、発毛薬とともに医療サプリメントを一緒に処方している医療機関もあります。主に、亜鉛やビタミンなどが配合されていることが多いようです。これらは、発毛薬の主成分に対し補助的な役割をすることが目的とされ配合されています。サプリメント単体での発毛効果は望めなくとも、発毛効果のある主成分との相乗効果で高い発毛効果が期待できるということは十分にあるのです。しかし、サプリメントだけで発毛効果を期待し、過剰な摂取をすることは身体によくありません。自己判断で市販のサプリメントを過剰に摂取することのないよう、記載の摂取量を守り使用しましょう。
ストレスをなくせば毛は生えてくるのか?
AGA(男性型脱毛症)に限って言えば、ストレスが症状を進行させるというデータはありません。つまり、ストレスがなくなったからと言って髪は生えるというわけではありません。抜け毛、薄毛が気になり始める年齢は30代後半~という方がとても多いため、仕事や家庭においてストレスを感じる時期と重なりやすく、髪の毛とストレスとの間に因果関係があるという迷信が広まったのではないでしょうか。
AGAの治療法
そもそもAGAは完治するのか?
これまでに述べたように、AGAは遺伝・体質的なものが原因となっています。そして、一度進行が始まれば進行し続けるというのが特徴です。適切な医療機関で治療を始めればその進行を食い止め、発毛を促すことは可能です。しかし、それはAGAの完治ではありません。治療を止めてしまうと再び徐々に進行が始まってしまうのがAGAのもう一つの特徴でもあります。
ですが、一度適切な治療を受けて状態が改善すればそれを維持するための治療も可能です。維持が目的の治療であれば、経済的・身体的負担を最小限に抑えることも可能です。しかしながら、そのような維持の治療が適切に行われている医療機関というのはAGA専門の医療機関の中でもごく少数しかないというのが現状です。
内服薬による治療
具体的な治療はどのように行われるのか、まずは内服薬を使用した治療についてご説明いたしましょう。「フィナステリド」という名前を聞いたことはありますか。AGA治療について興味のある方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。日本では「プロペシア」という名前でMSD社から発売されています。フィナステリドは、テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼを阻害する働きをします。それにより抜け毛を減少させることが期待できます。そして、もう一つの主な成分が「ミノキシジル」です。これは血管を拡張させる働きを持ち、発毛効果が期待できるのです。
外用薬による治療
前述のミノキシジルは、内服薬のみならず外用薬としても処方されます。ミノキシジル以外にも、同様の成分として含まれている塩化カルプロニウムというものがあります。しかし、日本皮膚科学会が発表しているAGAガイドラインにおいて、ミノキシジルはA(強く勧められる)に対し、塩化カルプロニウムはC1(十分な根拠がない)とされています。
頭の注射
AGA専門医療機関では、頭皮へ直接有効成分を注入するという施術が取り入れられている所もあります。しかし、使用される薬剤や手法は様々で、効果の程度にも差があります。これら内服薬・外用薬・注射の独自の組み合わせで治療が行われています。
何を選べばいいの?
AGAについて一通りお話したところで、では「何を選択すれば正しい治療ができるのか?」とお思いの方が多いのではないでしょうか。最低限のポイントは以下の通りです。
- 実際にカウンセリング、診察などを受け、自分の症状を知る
- 専門の医師のもと治療する
- 自己判断で治療を中止しない
- 結果が出た後、適切に維持していくフォローをしてくれる医療機関
髪が生えたあと、維持するには?
何を選択すべきかの3番目に挙げた「自己判断で治療を中止しない」というのはどういうことでしょうか。AGA治療はある一定の効果がでると、その結果に満足して自己判断で治療を終了してしまおうとする方がいます。
しかし、AGA治療は結果が出て終わりというものではありません。そこから維持していくことの方が難しいとも言えます。
だからと言って決して安いとは言えない治療費を払い続けるというのは経済的な負担が大きすぎます。そこで④の「結果が出た後適切に維持していくフォローをしてくれる医療機関」というのがポイントになります。
また、これには重要な補足があります。それは、「長期間効果が出ていない場合は除く」ということです。そもそも「治療」というのは医療機関でしか提供することはできません。民間の育毛サロンやエステに通い、全く効果が見られないにも関わらず、勧められるがままに追加の契約をしていくのは違うということです。以上のポイントを押さえることで、一人でも多くの方が適切な治療を受けられるよう願っています。