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毛髪専門医が教える髪と頭皮の正しい知識 その1
こんにちは。イークリニック麻布の高橋栄里です。
最近は昔と比べると、医療系情報TV番組が増えたことやインターネットの普及のおかげで、薄毛治療に関する情報も得やすくなりましたね。しかしその一方で、情報量が多すぎるがために一体どの情報が正しくてどの情報が正しくないのか、その判断がつかないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それを裏付けるかのように私のクリニックを訪れる患者様の中には、医学的根拠に乏しい民間療法を実践していたものの効果が出ずに(当然ですが。)ご相談にいらっしゃる方や、中には発毛の観点からは逆効果になってしまうような方法を行ったせいでかえって頭皮にダメージを与えてしまってから治療に訪れる患者様も少なくありません。
そうした方が一人でも減ることを願って、今回から3回に分け、「髪と頭皮の正しい知識」と題しまして、毛髪専門医だからこその知識を皆様にお届けできればと思います。
自分の頭皮のこと、どれだけ知っていますか?
頭皮は顔と一枚の皮でつながっていること、これは当たり前のようで、実は意識している方は少ないのではないでしょうか。皮膚はとても薄く敏感であるため、きれいで健やかな状態を保つためには日頃からしっかりとしたお手入れを心がけることがとても大切です。
この点、顔のお手入れについては最近は男性の美意識の高まりとともに、男性用基礎化粧品の種類も豊富になり、洗顔後やお風呂上りには化粧水などを使っているという方も増えましたね。しかし、頭皮のケアまでしっかりと行っている方はまだまだ少ないように思います。
顔の皮膚とつながっている頭皮もまた、健康な状態を保つためには顔と同様にしっかりとしたお手入れが不可欠なのです。そこでまずは頭皮のことをきちんと知り、正しいケアの方法を知ることから始めましょう。
皮膚の仕組み
ヒトの皮膚は大きく3層に分かれています。下から順に皮下組織、真皮、表皮と呼ばれます。そして表皮はさらに4層に分かれ、表皮の一番下の層で生まれた細胞は、段々と上へ上へと押し上げられていきます。
この細胞は表皮の一番上の層に押し上げられるころにはすでに死んだ細胞となり、これが一般的に「角質」と呼ばれるものになります。
男性ですと聞きなれない方も多いと思いますが、この細胞が生まれてから角質となって剥がれ落ちるまでの一連の流れを「ターンオーバー」と呼び、健やかな肌のターンオーバーの周期は約45日前後と言われています。
つまり、私たちが毎日見ている皮膚の表面は、実は45日前とはほとんど違う細胞でできているというわけです。
頭皮の状態
皮膚の仕組みについて知ったところで、続いては頭皮に着目してみましょう。ここでクイズですが、頭皮の厚さっていったいどのくらいか、みなさんご存知でしょうか?
ハイ。正解は、約2~2.5ミリ程度です。さらにその中の表皮の厚さはたった0.1ミリ程しかありません。そのたった0.1ミリの厚さの中で、細胞が生まれては剥がれ落ちるというターンオーバーが繰り返されているのです。
そんな薄くて敏感な頭皮ですので、人によっては乾燥したり皮脂の分泌が多くなったり、デリケートなんですね。お肌に乾燥肌や脂性肌といったタイプがあるように、頭皮にもいくつかのタイプがあり、
健康な頭皮
健康な頭皮の場合、マイクロスコープなどでよく見ると、透明感のある青白い色をしています。また毛穴もキレイで、適度な皮脂量で覆われています。
乾燥した頭皮
頭皮全体がかさついた状態で皮脂量が足りずに、乾燥した細かいフケや頭皮からめくれあがったフケなどが見られます。皮脂は、皮膚を外界の刺激から守る役割を果たす皮表膜を形成する上でとても重要です。皮脂分泌が少ないと皮表膜形成ができず頭皮の水分が減少し、乾燥頭皮になりやすく、外界からの刺激の影響を受けやすくなってしまいます。
皮脂の多い頭皮
皮脂は脂腺という部分で作られ、毛穴から頭皮に分泌されます。皮表膜を作るために多少の皮脂は必要ですが、かといって分泌量が多すぎると毛穴に皮脂がつまり、頭皮のべたつきやニオイの原因となってしまいます。
敏感な頭皮
乾燥、皮脂量の増加がさらに進んだ結果、頭皮に赤みがでたり炎症を起こす場合があります。またそのほかにもシャンプーや整髪量などに含まれる化学物質が原因となる場合もあります。
といった具合に状態やそれに合わせたケアの方法も変わってくるのです。
髪の毛一本一本に着目してみましょう
頭皮について知っていただいたら、続いては髪の毛についてです。髪の毛というと頭髪全体を想像されると思いますが、今回はより詳しく、髪の毛の1本1本の構造に注目してみましょう。
ですので、ここからはあえて髪の毛1本を指すという意味をこめて「毛髪」という呼び方をさせていただきます。
毛髪の構造と機能
毛髪の構造は1層ではありません。キューティクルという言葉はご存知の方も多いと思いますが、毛髪の1番外側はキューティクルという無色透明な薄いうろこ状の構造となっています。キューティクルの枚数には個人差があり、毛髪のかたさで異なります。
かたく太い毛髪の人は約10枚、柔らかく細い毛髪の人は約3枚と言われています。キューティクルは、外部からの刺激や摩擦に耐える丈夫な性質を持ち、さまざまな薬品やブラッシングなどの刺激から毛を保護しています。
そしてその内側には、毛髪の主成分であり大部分を占めるケラチンという成分が束のような繊維状になって集まっています。さらにその内側は空洞の中心部が存在します。
この他にもわずかな水分、脂質、メラニン色素により毛髪は構成されています。
毛周期(ヘアサイクル)って何?
ギネスブックの記録などで、身長以上に長く伸びている方がまれにいらっしゃいますよね。しかし実はあれは珍しいことで、髪の毛を切らなければ誰でも延々と髪を伸ばし続けられるというわけではないんです。
なぜなら、毛髪には生えてから抜け落ちるまでにある程度決まった周期があるからです。髪の毛1本1本には寿命があり、伸びては抜けてまた新しく生え、それが伸びては…といったことを繰り返しています。これを毛周期(ヘアサイクル)と呼びます。
ヘアサイクルには、成長期・退行期・休止期と呼ばれる期間があり、このうち毛を作り、成長している「成長期」が一番長く、男性の場合では約2年~5年、女性では約4~6年間続きます。
通常、毛髪全体の85~90%は成長期にあります。その後、退行期が1~1.5ヶ月、休止期が3~4ヶ月続き、やがて抜け落ちる。これが健康な方の場合の平均的なヘアサイクルです。
しかし、男性型脱毛症(AGA)の患者様の場合、数年続くはずの成長期が1年かもっと短いと数か月程に短くなってしまい、毛髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまうようになります。
ヘアサイクルがどんどん短くなっていき、すると細く短い毛髪の割合が増え、やがて薄毛が目立つようになってしまうわけです。太くて長い毛が脱毛する疾患はいろいろありますが、抜け落ちた毛の中に細くて短い毛が多く混ざっているときは、AGA(男性型脱毛症)が疑われます。