私の記憶のトリガー。

初めて来たのは、確か中3の頃。
おしゃれな友達に連れてきてもらったのが最初で、当時は周辺にほとんどお店もなくて、代官山にはハリラン目当てに行っていた。

店に入ると、独特の甘いお香がふわっと香る。

当時のハリランは、まさにアメカジ文化のど真ん中。
ジーンズ（デニムじゃない笑）、ワーク、ミリタリー。
ネルシャツ、レザージャケット、ヴィンテージ、レッドウィングのブーツがずらりと並んでいて、買えるわけでもないのに足繁く通っていた。

今みたいにネットもなくて、ファッション誌も好きなだけ買えない時代。
だから “お店に行くこと” が、情報を取りに行く行為そのものだった。
店員さんの着こなしを観察して、話を聞いて、感度を養っていたと思う。
それがとにかく楽しかった。

私たちの遊びは、いつも渋谷から始まった。
タワレコやHMVで音楽を漁って、そこから代官山まで歩き、雑貨屋を眺めて、最後にハリランへ。
また渋谷に戻りながら、服の話、音楽の話、恋愛の話。
他愛ないことも、ちょっと深いことも、目の前の友達とずっと喋っていた。

街の人が着る服も顔も個性にあふれていて、音楽は貸し借りして、
目に映るものも、耳に入るものも、全部が新鮮で刺激的だった。

今ここに来ると、必ず「ジャズベリー」のインセンススティックを買う。
私の記憶のトリガー。
店内は変わってしまったけど、この香りだけはあの頃のまま。
甘酸っぱい時間が、鼻の奥でふわっと蘇るのです。